耳と尻尾が




『京介!大丈夫!?』


俺が飛び起きたのに気づき、ばるこは目を覚まして俺の近くに来てくれた。


そのときのこいつには











耳と尻尾が











『きょ、京介!!どうしたの!!』
「いや、ばるこお前こそどうしたんだよ!耳と尻尾生えてんぞ!!」
『京介だって耳と尻尾あるよ!って、ええ!私も!?』
「俺もかよ!!」



お互いの姿を確認する。



ばるこには、猫の耳と尻尾が、俺には、狼の耳と尻尾が生えていた。



「ばるこ、俺の経験によるとだな、耳と尻尾は性感帯らしいぞ。ちょっと触らせろ。」
『やだよ!近寄らないでよサイテー!だいたい俺の経験によるとってどんな経験してんのよ!』
「正確に言うと漫画知識だな。」



俺から距離をとると、ばるこは部屋の端でこっそり自分の耳と尻尾を触って確認している。
なんだあのオナニストは。
ひぇぇ、なんて言ってビックリしている辺り、俺の予想は間違っちゃいないようだ。



『な、なんでこんなことに…』
「なぁばるこ、俺の見た夢なんだが…」



俺はばるこに夢で見た棺の話をした。



『じゃぁ私たち、その棺の中に封印されてた魔物を倒さないともとの姿に戻れないんじゃ…』
「だろうな。くそー、こんな姿でサテライトに帰るなんてかっこ悪すぎだろ!」



第一、ばるこに猫耳と尻尾が生えてるなんて、サテライトの男共の格好の獲物じゃねえか!
この姿のこいつには後で満足させてもらうとして、サテライトに帰るまでにはどつにかしてこいつと俺のケモノ化を治さねーと。



「フン!なんだ貴様たちの中途半端な格好は!」
『ジャック!!』



いつの間に宿屋に入り込んだのか、昨日のジャックに似た犬が、さっきまでばるこの寝ていたベッドに優雅に座っている。



「おいジャック!お前そこはばるこのベッドだぞ!」
「ああ、ばるこの温もりと匂いがダイレクトに伝わってくるぞ。」
『や、やめてよ恥ずかしい!』
「てめぇ!!!………って、俺ら犬と会話してるぞ?」



そうだ。口調こそジャックだが、目の前にいるのは犬だ。ただの犬だ。


昨日まで会話できなかったはずの犬の言葉がわかる。
俺の言葉も犬に伝わっている。



『私たちが半分でも動物の姿になったから、動物の言葉がわかるようになったのね…』
「まじかよ。」



まぁ好都合だな。
動物たちに、この町で何が起こっているか聞くチャンスだ。



「なぁ、ジャック。この町には動物しかいないが、一体どうなってるんだ?」
「あぁ、ちょっと待て。それについては俺の仲間も話したいそうだ。」
『仲間?』



宿屋の外に連れ出されると、そこにはジャックの仲間という、昨日
ばるこが池に放り投げた蟹と、俺の肩にフンを落とした鳥がいた。

遊星とクロウじゃねーか。



『遊星!生きてたのね!よかったー!!私、水のあるところに帰してあげようと思って池の中に放り投げちゃったけど、遊星沈んでいくんだから心配してたのー!!』
「あぁ、何とか大丈夫だ。だが俺は真水より潮水の方がいいんだ。だからばるこ、ちょっと脚を広げて、潮を吹いてくれないか?」
『それは無理。』

「クロウ!てめー昨日はよく俺の肩に汚ぇ置き土産をくれたじゃねえか!」
「あれは鬼柳だと思ってしたんじゃねーよ!フンしたところがたまたま鬼柳だったんだって!」
「どうしたらそうなるんだよ!!ワザとだろー!!」

「貴様らみっともないぞ!!」


ジャックが怒るので、俺たちは真面目に遊星たちの話を聞いた。



「この町はもともと動物の町なんかではなく、人間が平和に暮らしていた。」
「っつーのも、この町のすぐ東の山には白い狼がいて、その昔白い狼が災いを棺に封印していたからだそうだ。」
「だが、その棺の封印が何かしらの原因で解かれてしまったというのだ。」
「あぁ。そして町が突然暗くなり、町の人は動物の姿に変えられてしまった…」
「やっぱり、悪の根元を断つしかないようだな!」
『白い狼…ねぇ、それって。』



ばるこが俺の方を見る。
遊星たちも俺の耳と尻尾を交互に見る。



『京介のその、ピンとはった耳、ボリュームある硬そうな尻尾。形も色も、白い狼じゃない?』
「認めたくないがな。」
「ジャック!てめえ!…でもな、薄々俺も思ってた。」
「鬼柳。何かの縁で鬼柳は白い狼の力が与えられたんだと思う。頼む、この町を救ってくれないか?」
「遊星…あぁ、もちろんだぜ!この町を、俺たちの姿を元に戻すためにも、東の山に行ってくるぜ!」



ばるこも頷く。

俺とばるこは東の山へ向かった。





+continue+




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