「…いいの?短刀たちの所に行かなくて」
「はい!いいんです!」
「私といても、暇でしょう」
「そんなことありません!」

鯰尾藤四郎は横で洗濯物を仕舞う御峯にそういった。
御峯の格好は、青色のジャージだ。長袖長ズボン運動靴。
長い髪は下の方で緩く結っている。
すんと、呼吸を意識して行えば、柔軟剤だろうか、花の香りがした。

鯰尾が顕現されて、一番驚愕したことは、御峯という刀剣が女だったことだ。
すでに顕現していた自分の兄弟は、自分と同様に男であったし、他の刀派の刀も男だった。御峯以外の刀は、男の身体である。鯰尾はそれが不思議でたまらないでいた。

どうして女の人の身体なんだろう。
どうして皆は男の身体だというのに。
そんな疑問を鯰尾は抱いた。

鯰尾藤四郎には記憶の一部が無い。過去に火に焼かれ、消失したからであろう。
記憶を失った人間は不安がり、記憶が無いことを恐れるものだが、鯰尾にはそういった負の感情があまり感じられなかった。過去なんか振り返ってやりませんよ。と言える辺り、鯰尾の明るく前向きな性格が伺える。
そんな鯰尾藤四郎は、とにかく好奇心が強かった。
記憶が無いのが原因かは分からないが、かんでもかんでも興味を持つ。
好奇心が強い鯰尾が、御峯に興味津々になるのは、当たり前とも言えた。
だから、鯰尾は御峯に積極的に話しかけ、絡みに行く。
今日も洗濯物を仕舞う御峯の元に寄って行った。ついでに洗濯物を仕舞う手伝いをする。だから、暇なんてことはない。

……ちらりと鯰尾は、御峯の方を見た。

やわらかそう。
はだがつやつやしてて、しろい。
こえがたかくって、のどもごつごつしてない。
きんにくもちょっとひかえめだ。
あと、いつもいいにおいがする。
からだはおうとつしている。
おんなのひと。

でも、きっと御峯はこの本丸で一番強い。
それをよく、鯰尾は知っていた。

「御峯さんは、どうして自分が女の人の身体か、わかりますか?」
「……」

その疑問に、御峯の長い睫がぱちりと上下する。

――そして影のように微笑み。

「わからないわ」

と声を発した。
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