藍色の空だ。公平と一緒に歩く夜道は冷え切っていて、空にばら撒かれている星がよく見えた。
人がいなくなった三門市の一部は時が止まったみたいに静寂だけがあり、不気味なほど暗い。こんな中を女の子がひとりで歩く訳にはいかないので、たまたま帰るところだった公平を捕まえて、一緒に帰路へついている。
今日の空は一段と澄んでいる。雲一つないからだろうか。
私は空ばかり見ていて、公平はそんな私のお守りを仕方なくしている。思春期なら繋がれた手だって離したいだろうに、私の注意力が散漫なせいでごめんね……。次から全方向に気を配るから許してくれ、前も言ってたなこれ。

「見て、月が綺麗だよ!」
「はいはい。そこ、気を付けて下さいね」
「はい」


2020.11.14

back

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -