「圭一、おはよう」
「おう。おはよう、名前」

都会から来た前原圭一くんは、ここにも大分馴染んだと思う。学校に転校して来た時は浮かない暗い顔をしていたが、周囲の子達と遊んで行く内にハキハキとした明るい表情に変わっていったとをよく覚えている。
初めは都会から田舎にきて落ち込んでいるのかなと思ったものだが、圭一はここは最高だなんて発言をしている為、暗い顔をしていたのはまた違った理由だったんだろう。
私は圭一が転校してきた時、隣の席で数少ない同い年だったので、彼のお世話係を任された。だからか、圭一とは結構いっしょにいる。登下校も成り行きで一緒にすることになった。嫌ではない。
圭一を待っていた私は彼と学校に向かって歩き出した。
しばらく歩いていると、ふと隣の圭一が立ち止まり、後ろの方を振り向いた。

「どうしたの?忘れ物?」
「あ、いや……何かに呼ばれたような気がしたんだよな」
「気のせいじゃない?」
「そうだな」

え、何だったんだ?圭一は首を傾げているが、私だって同じ気持ちだ。圭一には何が聴こえたのか。


2020.11.06

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