手を取られる。私よりも骨張った手は意外にも大きくて、ちょっとびっくりしてしまう。

「行こう」
「うん……」

真剣な眼差しが、真っ直ぐ前を向いている。神威の細い背中を私は静かに見守る。
世界の運命を背負うひと。同い年の男の子が、そんな大きすぎる宿命を任せられているなんて、やっぱり今でも信じられない。
私は神威の役に立ちたいと強く願えど、特別な力を持っていないから何も出来ない。無力だ。それがくやしくて仕方ない。
神威は前をずっと見つめている。時折、確認するように私の手を強く握り締めて、それから元の強さに戻す。それがとてもかなしかった。
多くのものを神威は失った。だからこれ以上、失うのが怖いのだろう。
せめて、何があっても、どんなことが起ころうとも私は神威の傍に生きて居続けよう。私は自分自身に強く強くそう誓った。


2020.11.04

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