クラスの人気者である男の子が、クラスの片隅で友だちとひっそり会話しているような女の子を好きになるなんて、ずっとフィクションの中だけだと思っていた。だから、いま私とジョセフが付き合っている事実がまた信じられない。
まず、あのジョセフ・ジョースターが私に好意を抱いたのが不思議である。何故なら全く接点、関わり合いを私と彼は持っていないからだ。学校、家、家族構成、何一つ接点がない。どうやら「ひとめぼれ」らしいが……。目立つことのない人間をどこで好きになる?
「俺たち、幸せになろう」
そう、ジョセフが嬉しそうに私へ囁く。その、あまりにも幸福に満ちた表情に、私はまあいいかと自分の疑問を頭の隅に追いやった。
「うん」
ずっと前からジョセフのその言葉を待っていたような、そんな気分で私は素直に頷いた。
2020.11.17
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