「ぎゃっ」

平らな道で小石に躓く。
嘘だあ、鬼殺隊の隊員が小石に躓くわけがないでしょと言われようが現実、小石に躓いた。私だって信じられない。なに小石転がっているんだよ。
前のめりになった体を、隣で歩いていた炭治郎に支えられる。

「大丈夫か」
「あっ!うん、大丈夫!ありがとう……」

心配そうにしている炭治郎にお礼を言ってから、さっと素早く離れる。同期の炭治郎の前で恥ずかしい。しかし躓いた時は焦ったが、よくよく考えてみれば小さい子ならまだしも、十五の私がなにもしないまま転ぶなんてちょっとありえない。それに体勢なんてすぐ立て直せたのに、優しい炭治郎は私を助ける。
ああ、同い年の子の前で転びかけ、しかも助けられてしまった……。
羞恥からそっぽを向く私に、眉を寄せて下げる炭治郎。いつも通りのこと。それがなぜだか少し悔しい。



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