見たことある後ろ姿だなと眺めていれば、ファイアとリーフのコンビだった。

「やっほー、ファイアリーフ」
「………………………ブルー、ちゃん……?」
「は?ブルー?」

声をかけ、振り返った二人に手を振る。やっぱりファイアリーフだ。レッドグリーンという幼馴染の弟。
私を見た二人は、目を見開きありえないものを見る様子で、確認するようにじっくり私を見つめてきた。
どちらも表情が豊かだから、すぐに感情の変化が分かる。

それにしても大きくなったなあ。
まだ離れてそんなに月日も経っていないのに、しみじみとなんだかしんみりしてしまう。
背とか伸びているし、肩幅も広くなっているし。
そういえばテレビに出ていたグリーンも、生意気に成長していた気がする。
私は自分で成長したかどうかはわからない。
けど、まあ、背は伸びたはずだ。他はどうだ。
どうだろう、成長したんだろうか。

「あ、あ、ああああ!!!?ブルー!!?生きて……はいるな、マイカが言ってたし……うん。そうだ」
「生きているよ!勝手に殺さないで!全くもう、それにしてもどうしたの、アサギのとうだいに何か用でも?」
「……何もないよ。ちょっと、用事があって」
「誰に?」
「………。………、………ブルーちゃんの知らない人……」

頭を抱え、グリーンのように唸るリーフと、混乱を見せつつも冷静さを取り戻し、何とか私と話すファイア。対応に違いはあれど、同じ感情を抱いているのは分かる。
どうやら二人は用事があったようだ。私はてっきりマイカと待ち合わせていると思ったが、私が知らない人とファイアが言ったのでそういう訳ではないみたいだ。
私は邪魔してはまずいと思い、騒つく二人へアサギしょくどうに行くから、じゃあね。と告げてから去ろうとする。
そもそも私はアサギしょくどうで昼食をとろうとここに来たのだ。お腹がすいて仕方ない。
すると、ファイアリーフは慌てたように、俺らも行くと言い出した。
ええ、待ち合わせはどうしたんだ。と私は思う。

「え?お腹空いていたの?用事はどうするの!?」
「お腹空いてる」
「連絡するから安心しろっ!!!」
「いや、相手に失礼でしょ。それはよくないんじゃない?」
「いつでもいいって言っていたから大丈夫だよ」
「ああ、それに………いいから、安心しろって」

ファイアが頷き、リーフが鞄から通信機器を取り出し、連絡してくると一言いってから、通話をするためか少し遠くへ離れて行く。
本当にいいんだろうか。それにファイアリーフの歯切れの悪い態度が気になる。もしかして、会いたくない人が相手だったのかもしれない。用事ってなんだ、会いたくないなら嫌な用事だったりするのか?

「ファイア。その用事、嫌だったりしない?大丈夫?無理にやらされるなら断った方がいいよ」
「え、嫌、じゃない。……ブルーちゃんは気にしなくていいよ」
「そう?……あ!ファイア、よかった奢るけど、どう?」
「え、いいの?」
「いいよ〜、二人は私の弟みたいなものだしね!」
「………うん、そっか。ありがとう、ブルーちゃん」

ファイアがこっそり笑った。
……あ、レッドが来たら、どうしよう。
しょくどうじゃ逃げ場がないぞ。自分で作り出した状況に私、追い込まれるかもしれない。笑えないが、まあ、なるようになるかな。二人は人の嫌なことはしない子だし。いや、レッドに会うことは嫌なことじゃないけど、怒られる可能性があるのが嫌なだけで。


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -