その日はポケモンたちがご機嫌になるくらい、いい天気だった。


「ごめんなさい、 ファイア君、リーフ風邪ひいちゃって…」

ナナミさんが、申し訳なさそうに言う。
…という訳で、ぼくは暇人になった。
マーーちゃんはまた、レモンちゃんに連れて行かれた。
二人の姿が見えないから、期待してマーちゃんの家に行ったら、おばあさんにそう謝られた。

「……」

どうしよう。
ぼくはリーフとレモンちゃん、そしてマーちゃんとしか話さない。
だからこの三人の他に、友だちがいないのだ。
家に帰ろうか、でも家に帰っても退屈だし。
と、そこまで考えた所で、ある一つの考えが突然、頭の中に浮かぶ。
マーちゃんとレモンちゃんの輪に、ぼくも混ぜて貰えばいいんだ。
どうして今まで思いつかなかったんだろう。
……リーフが、嫌がるからかなぁ…。
後、ぼくらはぼくらで遊んでたってこともあるかも。
でも、混ぜてくれるだろうか。
…マーちゃんがいるし、大丈夫、だと思いたい。

「よし…」

気合を入れて、二人を探しに行くことにした。
レモンちゃんの家。
広場。
一番道路の入り口。
花畑。
研究所。

「…………」

しかし、色々な場所を探してみたが、二人の姿は見当たらない。
自主的にぼくが鬼の、かくれんぼでもしているのかな。
腕を組んで、心当たりはあるか記憶を探る。


「…あ」

そうだ、最近、レモンちゃんの秘密基地に行くって、マーちゃんは言ってた。
秘密基地にも関わらず、ぼくとリーフに教えてくれたなぁ…。

「確か」

海の西側の森を抜けた丘。
虫ポケモンが多くて嫌だ。そうマーちゃんが顔を顰めてたのを思い出す。
二人がマサラタウンのどこにも見当たらない。
だったら、そういうこと。
ぼくの身体が海の方向へ走り出す。
道を走り抜け、野原に踊り出る。
そして、鬱蒼と茂る森へ足を踏み入れた。
虫ポケモンが楽しそうに木の間を舞う。
穏やかな優しい風。
影を作り出す太陽の光。
どこまでも青い空。
緩やかな坂となってきた道を、スピードをそのままに上る。
出口らしき光が、段々近くなっていく。

  
    女の子の声が聞こえた。


それに気付いて、ぼくはスピードを速めた。

   
    女の子の声がきこえる。


光を走り抜いて出た丘は、結構広くて、海が一望出来た。
けど、ぼくは今、そんなこと、気にしてられない。
すかさず、声のする方を向けば、女の子が泣いていた。

ぼくは
その子の

「      」 名前を


呼んで。





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -