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「なぁ遥香。これでいいか?」
そう言って出てきた原田さんを見た瞬間、思わず目眩が…。
大人の色気たっぷりな原田さんに渡したのは、吸血鬼の衣装(こら、ド定番で捻りがないとか言わない!)。
絶対似合うとは思っていたけど、ここまでとは…。
これじゃ、私の身(主に心臓)がもたないわ!!
「う…っうん。似合うね、原田さん」
出来るだけ内心の動揺を出さないように答えたつもりだったけど、原田さんには見抜かれたみたいだ。
クスリ、と笑われる(その微笑みも反則ですってー!)。
「せっかく仮装してんだし、それっぽい事でもしてみるか?」
1歩1歩、原田さんが近付いてくる。
その瞳に囚われた私は、その場から動く事も出来ない――。
やがて、息がかかるほどに接近した彼は私の後頭部に手を回し、耳へと唇を寄せてくる。
「今夜は血だけじゃなく、お前も欲しい……」
ご丁寧に、口にはめた牙を見せつけながら甘く濡れた声で囁いてくるのだから堪らない。
「〜〜〜〜っ!!」
いくら冗談って分かっていても、私には色気の耐性なんてないのよ!!
今頃、私の顔は真っ赤になっている事だろう。
しばらくして私から離れた原田さんにからかわれる事になるが、それでもなかなか顔の熱は引いてくれなかったのだった。
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