六
とし、おまえは・・・きれいだな
みほれるくらいにまっすぐで、ひどくあこがれる
おまえをみていると、ときどき・・ふあんになる
わたしは、おまえのとなりにいていいのかと
だが、このばしょをひとにゆずりたくはないんだ
おまえのとなりは、あたたかでここちいい
ここは・・・わたしのばしょだ
とし・・・・・、ここはわたしの・・・
「・・・言うだけ言って、寝るんじゃねえよ。」
再び隣で聞こえ始めた穏やかな寝息に、本日三度目の溜息が落ちた。
こんな本音を溢すほどに酔うなんて、らしくねぇとしか言いようがない。
だが、それが嬉しくないと言ったら嘘になる。
月乃が見せたその欲は、これ以上なく俺の心を縛った。
甘く、心地よいとさえ感じる鎖で。
「この場所は、お前以外に誰にもやるつもりはねえ。」
こいつの他に、俺の隣に相応しい奴がいる訳が無い。
ここは、月乃の為にある。
「だから、お前の隣も俺以外の野郎にくれてやるなよ。」
「その場所は死ぬまで、俺のために空けておけ。」
艶やかな髪を一撫でし、漂う菖蒲の香りに包まれて目を閉じた。
腕の中の愛しい人に、夢の中でも会えることを祈って。
→あとがき
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