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それから・・どうしようが始まった。

だって男の人とお付き合いどころかあまり話したことだってないし・・そんな心理がそうさせたのか・・いつもなら絶対にしない行動にでてしまったのです。

偶然目にした看板・・恋愛指南承ります・・

いかにも怪しい看板に心が動いて・・ついそのお店?の前に立って覗き込んだ瞬間・・

「いらっしゃいませ。」

魔法のように開いた扉の向こうにいた笑顔が妖しい男の方に捕まってしまいました。

「ようこそ、ここはあなたのような恋愛初心者の方には打ってつけの場所ですよ。何しろ恋愛のスペシャリストが目白押しなんですから。」

「あ、でも・・私・・まだ・・。」

「大丈夫です。授業料はオープン記念の為・・なんと3000円ぽっきりなんですよ。一日特上のイケメンと過ごせてたった3000円。超お得ではありませんか?」

何か・・違う気がするけど・・

「迷っているのなら、先ずは指導してくれる先生に会ってみたらどうでしょう?きっと気に入られると思いますよ・・さぁ。」

え〜〜〜〜そのまま腕を持たれて連れて行かれた先は・・紅い扉の前。

「さぁ着きました。この中に居る原田君ならきっとあなたのお悩みを解決してくれますからね・・ではどうぞ。」

扉を開き・・半ば押しこめられた感じで入ったお部屋には・・長身のこれまた優しげな紅い瞳のお兄さんが・・・居た。

「先ずはここへ座って・・そう固くなんなよ。」

そんな事言ったってこの場を乗り越える事が出来るなら・・悩みもしないのに。

「俺は原田左之助・・そうだな、左之さんとでも呼んでくれ。で、おまえは・・葡萄でいいか?」

「はい・・・。」

そう答えるのがやっと・・イケメンが怖い・・

「どれどれ・・ん?初デートをどうしたらいいか分からない・・なるほどな。おまえ、結構可愛いのに経験なしか・・。」

先ほど書かされた書類を見て考える左之さん。


「なあ、デートと言っておまえが思い当たる場所って何処だ?」

「そうですね・・映画館?」

「そうくるか・・。」

また考え込む・・可笑しなことを言ったかな…不安。

「まあな、間違ってはいねぇが・・初めてはダメだな。いいか・・映画を観る時ってそっちに気がいくだろう・・だから相手の事を知るも何も会話もなくただ観ているだけ。

何回も会っているなら・・そう手を握るとか有りだけだな・・ははは、そんな顔すんなよ。どっちかと言ったら・・暑い事もあるし水族館がお勧めだ。

少し暗い中大きな水槽を二人で並んで観ているだろ。そこでおまえが質問するんだよ・・あまりメジャーじゃない魚の名前とかさ。

そうすると男は知らないなら今度調べてくるよとか言って・・でもこの魚なら知ってるとか・・あるいは自分の得意な方面に話をすり替えてくる・・そこで少し話が盛り上がるし、相手の事も分かるだろ。

もし、魚オタクさながらで知っているなら・・ほめまくるわけだな。よし、実践。」

「実践?」

「ああ、うちの誇るべきシステムは机上ではなく体感して貰って理解してもらうだからな・・行くぞ。」

あれよあれよと言う間に左之さんの車で水族館に来てしまいました。
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