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ホント、男子達がいつ部屋へ戻ったかは記憶が無いの。
それくらい爆眠してたんだけど…
夜明けに少し冷えてきた山の空気が窓から入り込んで、背中を撫でれば、がブルッと震えて目が覚めた。
薄く目を開ければ、ぼけた視界の真ん中に鎮座する黒い物。
「ん………?」
私のあげた寝ぼけ声に、黒い物がモゾモゾと動いた。
そういえば…、と夕べの騒ぎ?を思い出して…
くくく、と笑って、
繋いだままだった手をぐっと引っ張った。
「おはよ……」
コロン…と転がって私の方を向いたあっちゃんに挨拶しようと思った私は正面から見て…………
息が止まる。
すーっと通った鼻筋の下、形の良い口唇が『ん〜っ』と唸る…
目の前にある長い睫毛がピクピクと動いて…、
うっすら開いた瞼。
開いた瞳が放つ強い光は女の子のものではなくて…
バチッ!と
火花が飛んだみたいに派手に視線がぶつかった。
私が握った手の先にいたのはあっちゃんじゃなくて……
え……、タキ君……?
「ひゃえええええ!!!」
私は、ロッジ中…、
ううん、
ロッジの外まで響き渡る様な声で叫んだ。
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