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ある日、息子にパパとママの馴れ初めを話すことになった。
そう、あれは、高3の2学期を迎えるまだ残暑厳しい9月1日のことだった。
ジリリリリリリリ〜♪
けたたましく、夢の世界を断ち切るように目覚まし時計の音が鳴り響く。
起きると同時に、蝉達が1週間の青春を謳歌するかのような鳴声も目覚ましと合唱してる。
『あんだぁ〜?』何気なく机上の鏡を見た俺は、まだ夢でもみてるのか?と疑う現実を知る。
『おいおい、このイケ面だれよ?どっかでみたな?』(この前、奈々がやってたゲームばりのイケ面だな…)
お盆前に、奈々の家に遊びに行ったときに、嬉しそうに見せてきたのが「は…はくおう?はくおうき?」っていてったか?
新撰組をモチーフにした歴史ものゲーム。「薄桜鬼」の沖田にそっくりなのである。
『あ、これ…沖田総司やんけ?』
奈々ってのは、近所に住む、俺の3つ下の部活の後輩で、家族ぐるみで付き合ってる女の子だ。
昔から気にはなってたが、最近、とくに可愛くなったなぁと密かにおもいつつ。
しかしだ、付き合うなんてことになれば、周囲の連中に「中等部の奴とつきあってるの?ロリコンだな」と
攻撃される毎日が目に浮かぶ。
俺達は、ゲーム好き・歴史好きな関係で仲もよかった。
そういえば、「子供には総司ってつけたいの」とか馬鹿なこといってるなとおもいつつ、歴オタのおれも
まんざら頭の中で、「おれなら幸村か孔明だな(。-∀-)イヒッ」って考えてたりもした。
そんなことがあったからか?夢でもみてるのか、ほっぺたを数発ビンタしてみるも、しっかり痛い…。
「しんいち!」階段のしたから、オカンが叫ぶ。「いつまでねてんねん、奈々ちゃんむかえにきてんで〜!」
と、吼えながら階段を上がってくる…。(まずい)
『オカン、あかん!ちょ、すぐいくからあがってくんな!』
とりあえず、制服に着替えてマスクをして、階段を飛び降り玄関にでた 『おかん、ほないってくるわ!』
「あ、新一!弁当は?」
『いらん、始業式だけやから部活の前に一回食いに帰るわ!』(とりあえず、家を脱出成功!)
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