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気を遣ってしまった美佳からそっと離れ、今日の為に取り寄せたシャンパンを取りに部屋を出る。
氷を入れたワインクーラーにそれを入れ、グラスを持って美佳の眠る寝室へ向かう。
サイドテーブルに載せると、軽くグラス同士が接触し高い音が微かに鳴った。
その音に促されたのか、美佳の重なったままになっていた長い睫の奥の目が、数回の瞬きの後そっと開いた。
『歳?』
焦点の定まり切らないその瞳は、甘く潤んだままで・・・それでも俺の姿を見付けるとやんわりと微笑んだ。
まだ身体を起こさない美佳の傍らに手を付き、触れるだけの口付けをすると・・・
美佳は両腕を俺の首に回して来た。
そのまま俺が身体を起こすと必然的に美佳の身体も起き上がる。
その頃には完全に眼を覚ました美佳は擽ったそうに笑った。
「さあ、順番が逆になっちまったが・・・乾杯といこうか。」
ワインクーラーからシャンパンを引き抜くと、布を当てコルクを抜く。
シューッっと微かな音を立てコルクが抜けるとグラスに注ぎ込む・・・・。
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