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あいつを探すのに集中していた・・・・・・。

し過ぎていたんだろう・・・フッと気が付くと、俺の周りにはやたらと女が集まって来ていた。

もちろん、自分の容姿は理解している。


俳優だモデルだと言われる容姿はこんな時には面倒だ。


金に近い色まで落とし、パサついた髪を盛った女が声をかけてくるが、

丁度出口から出て来た美佳の姿を見付けその場を離れた為背後から何か黒い気配を感じたが気にも止めなかった。

背後から何か聞こえたが、視線は美佳から離れねぇ・・・・・。






紗綾型地紋に白雲取と裾から伸びやかに枝を伸ばす梅橘と数種類の花で織り成された花丸

そして竹が画かれた振袖を纏った美佳はこちらにはまだ気が付いていないようで、友達と談笑している。

友達に向けた気を許した笑顔が、あどけなさを残したまま大人になりそのアンバランスさが危うく、俺を惹きつける。


友達が何か言い、美佳が振り向いた・・・髪に差している簪が揺れた。


柔らかなピンクのグラデーションの梅の花に生成り色の小梅、黄緑のぼかしの葉のつまみ

細工・・・長めの藤の花のモチーフの房下がりの飾りが付き、その先端には鈴が付いている。

動くたびチリンと綺麗な鈴の音が響き、ビラカンが太陽の光を浴びてキラキラ輝いている

・・・それが美佳の黒髪に映えている。




元々大きな瞳を更に大きくし、次の瞬間笑みの形へと変わった。

『歳!』

俺の名を呼ぶ美佳に軽く笑み、足を速める。


少し照れたように立つ美佳は、どう?と言いながら小首を傾げる。



白地の着物は色白の美佳によく合っている。

そして帯の地色を黒にし若々しい振袖に落ち着きを与え、

でも地の黒を柔らかく見せるほど豊富に金銀糸を使用した唐華菱がこめられた二重七宝が、落ち着いた色彩の色糸にて、

畝のような立体感が織表現で配されている。


「悪くねぇ」


いつもと違う着物姿に加え、髪を結い上げてる・・・。
平均より少し小さめでいつもは幼さすら感じる事もあるが、今日は微塵も無い。




華やかな振袖に負けない美しさを見せ付けている。






美佳の右手を取り先を促すとゆっくりと歩を進めた。

不慣れな裾捌きのため美佳の歩幅が小さく頼りない、焦らせないようにゆっくり共に歩く。







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