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蜜柑を1つ食べ終わると、不意にこつんと凭れてきた。
『左之がいてくれると、背中温かいね。』
俺の胸に頭を付けたまま顔を上げ、視線を合わせる。
「だろ?だから陽色には座椅子はいらないんだって。」
そうだねって笑う陽色の唇から視線が外せなくなる・・・。
化粧を落し、ちょっと幼くなった陽色の桜色の唇。
化粧の時はベージュ系のくすんだ色を好んで付けるけど、落すとこんなにも可愛い色が隠れている。
勿体無いと思う反面、知っているのは俺だけだと思うと隠し続けて欲しいとも思う。
顔を戻そうとする陽色の顎を指先で軽く止めると、その唇に軽くキスを落す。
軽いキスを何度も落すうち・・・陽色の唇の色が変わる・・・・。
桜色から色付いた桜の実の様に・・・。
清楚な唇に悩ましい色が纏い付く・・・・・。
じれったくなり陽色の開いた口腔から覗く更に紅い舌に俺の思考も染まり始める。
深く重ねた唇、絡む舌・・・・・
蜜柑の香りのするキスに・・・・
深く・・・
深く嵌まり込む・・・・・
fin.
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