キミの味方


「はぁ…」

私は机のカレンダーを見て、溜息をついた。

明日は大好きなポルノグラフィティのライブがある。

行きたいってお願いをしたけれど。
修一お兄ちゃんが首を縦に振ってくれなくて、私は参戦を諦めた。


「気晴らしに、裕次お兄ちゃんにピアノ弾いてもらおう」


そう思ってドアを開けた瞬間、



『ごんっ』



という鈍い音と、

「いてっ!」

という声が聞こえて、私は慌てて声の主を確認する。


「雅弥君!大丈夫?」

「お前、勢い良く開けすぎだっつーの…」

偶然とはいえ、雅弥君の赤くなったおでこを見て申し訳ない気持ちになる。

「ごめんなさい…」

謝った私のおでこに、雅弥君は笑いながらデコピンした。

「どうせ、何かモヤモヤしてたんだろ?」

「え…」
顔を上げた私に、雅弥君は封筒を差し出した。

「そんなお前に薬を処方してやる」

「へ?薬??」


「明日のポルノのライブ、畑野が行けなくなったってチケット譲ってもらったからさ。
 シュウ兄に許可もらったら一緒に行かないか?」

「いいの!? 絶対行くっ!
 ありがとう、雅弥君!」

笑顔を見せた私を見て、雅弥君も笑顔を返してくれた。

「明日は楽しもうな!」

「うん!
 あ、じゃあポルノのCD貸してあげる!」

私は部屋に戻ろうとする雅弥君にCDを渡して後ろ姿を見送った。

さっきまで諦めきれずにいた心のモヤモヤが晴れて、私はドキドキしながらベッドに潜り込む。

「…明日、いっぱい元気をもらってこよう!」

私は雅弥君から渡されたチケットを枕元に置いて眠りについた。





「すごく良かった〜っ!」

ライブが終わった帰り道、私は興奮が冷めないまま雅弥君と話していた。

会場の混雑を避けて迎えの車が待っている駅とは逆方向の公園に向かっているせいか、
周りには人がいなくて私達は素直な感想を言い合う。


「…って思わなかった?」

前に向けていた視線を雅弥君に向けた私は、優しい目をして笑っている雅弥君に気付いて言葉が止まる。


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