Happy Birthday to Kaname!


私は電気のついていない離れを見て、何回目かの溜息をつく。

机の上には、要さんの目を盗んで作ったケーキとプレゼント。



誰よりも1番先にお祝いしたいのに…。



あと少しで日付が変わる。

私は思い切ってもらった合鍵を手に、離れへと向かった。





離れに入った私は、カーテンを閉めて持って行ったキャンドルに明かりを灯す。

要さんを待っている私を試すように時計の音がゆっくりと時間を刻んでいく中、
待ちわびた音が室内に響く。

『カチャッ』

部屋に入ってきた要さんは、私の姿を見て目を丸くする。

「奏っ!?」

「要さん、お誕生日おめでとう!」
抱きついた私の頭を、要さんが優しく撫でる。

「それを言う為に、わざわざ…?」
少し困ったような要さんの声に私は顔を上げる。

「…だって、1番にお祝いしたかったから…」

「ありがとう、嬉しいよ」
要さんは小さく笑うと、甘くて優しいキスをくれた。

「あ、あとね!
 プレゼントもあるの!」
私は高鳴る胸を静めようと、要さんから身体を離してプレゼントを差し出す。

「開けていい?」
私が頷くと、要さんはゆっくりと包みを開けていく。

プレゼントを見た要さんの目が嬉しそうに細まる。

「…奏、俺に付けてくれる?」
そう言って、要さんがプレゼントの腕時計を私に渡そうとして、手が止まる。

「奏、これ…」
腕時計の背面を見て、要さんの頬が染まっていく。


時計の背面に彫ってもらったのは…私達にしか分からない秘密の合言葉。


「ずっと一緒だよ?」


「奏…ありがとう。
 ずっと一緒だ…」
要さんは私をぎゅっと抱きしめて、耳元で甘く囁く。

何度も啄むようなキスをして、要さんが溜息混じりに呟く。
「奏は学校なのに…部屋に帰したくない…」

私は返事の代わりに、要さんにキスをする。

「奏…。
 明日、クマを隠して!なんて騒がないで下さいね?」
要さんは少しだけイジワルな瞳をしてそう言うと、ひょいっと私を抱き上げた。

お姫様抱っこされた私は、テーブルに置いてあるもう1つのプレゼントを思い出す。

「ま、待って!
 まだケーキがあるの!」

「今はケーキより奏」
言いながら微笑む要さんの瞳が艶かしく輝く。

「要さん…///」

「時計もケーキも嬉しいけど、奏が何よりのプレゼントだよ」
ふわりと…だけど『男の人』の顔で微笑んだ要さんに、私は身体も気持ちも委ねた。




要さんに甘い甘いお返しをもらった私は、少しだけ不安になる。





…私、クマで騒ぐ前に、ちゃんと学校に行けるかな…?




*****+*****+*****

→雫流より


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