暖炉
暖炉の火が、軽く息が荒い奏の体を照らしている。
何も着ていない、横たわるその身には、無数の赤い印し…。
「無理、させてしまいましたか?」
心配そうに奏を見下ろす御堂要もまた、一糸纏わない姿だった。
「あまりにも奏が愛おしかったから、あんなに求めてしまいました。」
要の手に髪を撫でられている奏は、うっとりとした目で要を見つめている。
「全然大丈夫よ。」
高校を卒業し、西園寺大学への入学を待つだけの奏は、久し振りの要とのデー
トでドライブを楽しんだ。
レストランでの昼食の後、予定ではまたドライブをする筈だった。
奏は窓の外を見つめる。
「凄い吹雪ね。この別荘に着いた時よりも強くなってるみたい。」
「そうですね。夢中でしたので気がつきませんでした。」
笑顔で、要は言う。
途端に赤くなる、奏の顔。
「顔、赤いですよ?でも、事実ですから。奏との時間は、他の何の感覚も気に
ならないくらい、濃密ですから。」
要の指先は、奏の肌を滑る。
首筋、胸、お腹、太もも…。
ぴくりと反応していく、奏の体。
「吹雪は朝には治まるでしょう。それまでは私達はずっと二人きりです。」
唇と唇が重なり。
ただの愛し合う恋人同士がそこに居た。
暖炉の炎だけが、2人を見つめていた。
終
→雫流より
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