映画見て、ショッピングして、
執事の要さんでなく、彼氏の要さんが隣にいる。
幸せすぎて、何度デートしても、これは夢なんじゃないかなと思う。


公園を歩いていると、
クレープ屋さんのワゴンが止まっているのを見つけ、2人は顔を見合わせて微笑んだ。

「じゃあ買ってくるから、ここで待ってて?」

そう言われ、私は1人ベンチに座って要さんの帰りを待つ。


「ねぇねぇ、君1人?俺らと遊ばねー?」

突然後ろから声がして、振り返ると、大学生ぐらいの2人組の男の子が話しかけてきた。

ナンパ…?

私は、
「連れがいますので。」と目線をそらしてこの場をやりきろうとしたのだけど…。

「そんなのいねぇじゃん!いいから行こうぜ〜!」

と、強引に腕を引かれる。


「っや!離してっ!」


…要さんっ!…




その時、グイッと反対の腕が引かれたかと思うと、暖かな腕の中に引き寄せられた。

背中から感じる体温や香りで、それが要さんだとわかる。


「あ゛!?んだよおめぇ!その子は俺らがっ」



「…えっ!?」
要さんは後ろから私の顎をくいっと上げ、2人の目の前で…キスを落とした。


そして2人の方を鋭い視線で睨みつける。


「…俺らが、何だって?」

「…っ」

要さんの有無を言わせない視線と空気に、
2人は舌打ちをすると、バツの悪そうな顔して去っていった。


「あのっ、要さん?」

恐る恐る要さんの顔を見上げると、
鋭い顔がふっと和らぎ、いつもの優しい笑顔を向けてくれた。

「すいません。私がついていながら、怖い目にあわせてしまって…けど…」

そのままぎゅっと抱き締められる。

「…他の男に簡単に触られるなよ…。

…奏は俺のものなんだから。」


「…要さん///」

いつも何でも完璧にこなすのに、こんな、余裕のない要さんを見るのは初めてで…
…怒られているのにドキドキする。


「…すいません!厚かましい事を申したりして!
今のは…忘れて下さい///」

そう言ってばっと体を離す要さん。

「…要さん、敬語…。」

そう言うと、要さんは、あっと口を押さえる。

「…ごめん。」

「いいえ、許しません!
罰として……さっきの言葉、私忘れないから///」

私はそう言って微笑むと、要さんの手を繋いだ。

「さっ!デートの続きしましょう?」

要さんは私の発言に驚いた様子だったけど、ふっと表情が和らぎ手を握り返して微笑む。

「わかったよ。じゃあ行こうか。」


ナンパは、少し怖かったけど、その代わり、今日は要さんの意外な一面が見れて、嬉しかった。
…なんて思ったら、不謹慎かな?

私は要さんを見上げて笑顔になる。

「…要さん、ありがとう♪」


―Fin―

→雫流より


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