【side 修一】


「(俺はなんてことを…学校で、あんな////)」

逃げるように奏が出て行ったドアを見つめながら、俺は酷い自己嫌悪に陥っていた。

あそこで蓮が入ってこなかったら…きっと、あのまま……

学校で衝動的になんて、高校生じゃあるまいし。

「(本当に、奏の事になると…余裕どころじゃないな)」

奏の艶めかしい姿態を思い出すだけで、再び身体が熱を持ってきそうだ。

「…修一先輩、どうかしましたか?」

「あ、ああ。すまない。指導案は見ておきます」

「はい、よろしくお願いします!!」

爽やかで屈託のない蓮の笑顔を見ていると……自分がますます汚れた大人に思えてくる。

「……蓮」

「はい!」

「剣道部に、顔を出しますよ。付き合いなさい」

「ええ!?これからですか!?」

火照ってしまった身体と、情けない煩悩を鎮めるには…竹刀が一番だろう。

「部活動の指導も、教育実習の一環です。さあ、行きますよ」

「そんなぁ〜」

渋る蓮を引きずるように武道場へ向かった俺は…その日、日が落ちるまで、蓮を相手に竹刀を振り続けたのだった。



…翌日、チョークを持つ手に力が入らないほどの筋肉痛に襲われてしまった蓮の授業が、いつも以上にガタガタだったのは……きっと、奏に手を出そうとした罰、なんだろう。




Fin


→雫流より


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