「お前バンソーコーとか持ってねぇの?」
傷に触れないように優しく掴む雅弥くんの手がくすぐったい…
『あ、あるよっ///』
そんな気持ちを悟られないように鞄からバンソーコーを取り出すと、雅弥くんは器用に…しかも丁寧に貼ってくれた
「どうだ?まだ痛むか?」
『すごい…全然痛くないよ!』
私が驚いているとやっと雅弥くんはいつものように笑ってくれた。
「でも、これ以上歩くのは無理だな…俺、要に迎え頼んでくるわ。」
そう言うと少し離れた所で電話をかけだした
私は雅弥くんが貼ってくれたバンソーコーに視線を落とす
なんか…かえって悪い事しちゃった……
「奏!すぐ来るってよ!」
『うん…ありがとう。』
申し訳ない気持ちでいっぱいで俯いていると、隣に座った雅弥くんがポンポンと頭を撫でてくれた
「また二人ででかけような!」
顔を上げるとニカッと笑う雅弥くん
その優しさに不思議と救われた
『うん!映画…残念だったね?』
「まぁ、どうせ貰いもんだし!いんじゃね?それに……」
言いかける雅弥くんの顔がみるみる赤くなっていく
なんだろう…?
「きょっ、今日の格好のお前可愛いよ…」
『え…もう一回言って!』
「ばっ!二度と言わねぇーよ///」
『けちっ!いいもんっ聞こえたから!!』
「…っ///。あ、要こっちだっ!!」
そんなやり取りをしていたらあっというまに御堂さんが迎えに来てくれて、私たちの初デートは終わってしまったけれど…
それでも私にとってはすごく幸せな一日だった…
それにしても…あの映画すごく人気で、チケット手に入れるの大変なんだよね
ほんと、素直じゃないんだから……
おしまい
おまけの御堂さん→
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