『ねぇ、雅弥くん?何の映画みるの?』
二人並んで歩きながら、気になった私は雅弥くんに問いかけてみた
すると雅弥くんはポケットから2枚のチケットを取り出し、私の顔の前にズイッと差し出す。
そして満面の笑顔で言った
「これ。最近テレビで宣伝してるだろ?」
『えっ!!私が見たかったやつだ!!』
その映画はテレビの宣伝で見かけたてから、ずっと気になっていたものだった。
でも…これって………
「まだ、映画まで時間あるからどっかブラブラするか!」
『…ぁ、うん!』
ーーーーーー。
それから私たちは公園の中を通り、人の多い大きな通りに出た。
休日ということもあってかなりの人がごった返していてなかなか思うように歩けない…
私ははぐれない様にと勇気をだして雅弥くんの服の裾をキュッと掴んでみた
これくらいならいいよね?
「………。」
それに気づいた雅弥くんは何も言わず私の手に触れると、裾から引き剥がしてしまう…
でも、次の瞬間には私の手は雅弥くんの手の中にすっぽりと収まっていて
思わず顔を上げて雅弥くんを見ると、耳まで真っ赤になってるのがすぐにわかった
「裾が伸びるだろ……そ、それだけだ!!」
雅弥くんらしい答えに私はつい笑ってしまったけれど、本当は嬉しくてしかたなかったんだ
そんな風に思いながら雅弥くんに手を引かれるがまま歩いていると、不意に雅弥くんが振り向いた
「奏!あそこ行こーぜ!!」
雅弥くんが指差す先にあったのはゲームセンターだった。
たしかに残りの時間を潰すにはちょうどいいかもしれない…
『うん!!』
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