シトシトと降りしきる雨の中、私と修一お兄ちゃんはひとつの傘に二人で入り
ゆっくりと歩いていく。
嬉しいけど、緊張してし、ちょっと修一お兄ちゃんから離れて歩く。

「奏さん、もっとこっちにこないと濡れてしまいますよ?」

「そっそうだね。でもお兄ちゃんも濡れちゃうよ・・・。」

「ではこうしましょうか?」

すっと修一お兄ちゃんの手が、私の腰に回され引き寄せられる。

「しゅっ修一お兄ちゃん!?」

私の足が思わず止まる。体中の血液が顔に集まってきているのがわかる。
・・・きっと今すごい顔になってる・・・
そう思うと顔も上げることができず、思わず俯く。

「あっあのっそのっ・・・」

「ふふふ、大丈夫ですよ?誰も見ていませんから。さ、行きましょう」

緊張しながらもなんとか歩いていく。

「奏さん、僕は本屋に寄りたいのですが、付き合ってもらっていいですか?」

歩きながらそう声をかける修一お兄ちゃん。
少し落ち着こうと努力していた私の心臓が、声をかけられたことでまたスピードが上がる。

「うっうん、いいよ。」

「どうしたのですか?先ほどから俯いたままで・・・?そんなに僕と一緒がイヤですか?」

そう言いながら、私の顔を覗き込む。
修一お兄ちゃんの顔が近づいてきて、びっくりして顔を上げる。

「イヤじゃないよ!ちょっと・・・その・・・緊張してしまって・・・」

・・・ちゅっ・・・

傘の影に隠れるように、修一お兄ちゃんは私の唇を軽くふさいだ。
またも真っ赤になる私を、ほんのり頬を染めた修一お兄ちゃんが見つめる。

「そんな顔をしないでください。僕にも我慢の限界がありますから・・・」

もう一度、私の唇をふさぐと耳元で小さくささやいた。

「好きですよ。奏。妹としてではなく、一人の女性として・・・」

びっくりして修一お兄ちゃんの顔をみるとふわっと優しく微笑んでいる。
その微笑に、私の口からも素直な気持ちがこぼれ落ちた。

「わっ私も好き・・・」


傘に当たる雨音。いつの間にか少し強く降りだしている。
そんなことにも気づかずに、私はただただ修一お兄ちゃんを見つめる。

腰に回されていた腕が強く私を引き寄せる。
そして私は修一お兄ちゃんに抱きしめられた。

「もう少しだけこのままでいてもいいかな・・・?」

「・・・うん・・・」

降りしきる雨の中、私と修一お兄ちゃんはしばらくそのまま抱き合った。
聞こえてくるのは、傘に当たる雨の音。

もう少しだけ

ふたりだけのひと時を


―Fin―

→雫流より


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