僕は奏お姉ちゃんの事が好き。





そう、気づいてからは、僕は自分の状況が嫌で仕方なかった…。




家に帰ったら、裕兄ちゃんがお姉ちゃんにべったりだし。



学校では、雅季兄ちゃんと雅弥兄ちゃん、修兄ちゃんがお姉ちゃんの側にいる。


僕だけ…奏お姉ちゃんとの距離が遠い…。






けど、木曜のこの時間は好き。


僕だけが、体育をしている奏お姉ちゃんが見れる。


体育は男女別だから、この時だけは、お姉ちゃんの周りには、お兄ちゃん達はいない。



みんなは知らないでしょう?

いつも、ドジであぶなっかしいお姉ちゃんだけど、実は走るの早いんだよ?

走ってるフォームも、すごく、キレイ。


けど、やっぱり時々躓いて転んじゃうんだ。

今日の陸上の授業も、歩幅が合わなくてハードル飛べなかったし。




そんなお姉ちゃんが、


可愛くて…愛おしい…。











授業が終わるまで、
あと30分もある。

いつもは、

ずっとお姉ちゃんの姿を見ていたいのに、


今日は早く時間が過ぎてくれればいいのにと思う。




だって今日は、
お姉ちゃんと一緒に帰る約束をしたから。












奏お姉ちゃん。


もし、もしね。


僕がお姉ちゃんのこと、好きって言ったらどうする??


可愛いなぁって、また僕を子供扱いする?



僕は、お姉ちゃんが思ってるほど、子供じゃないよ?


お姉ちゃんの事、守れる自信がある。


背だって、今は低いけど…もっともっと、高くなって、お姉ちゃんの事、腕の中にすっぽり包み込めるくらい、大きくなるはず。













ねぇ、僕が手を繋ぎたいって言ったら繋いでくれる??





抱きしめて、その可愛い唇にキスしたいって言ったら、
ドキドキしてくれるかなぁ。








奏お姉ちゃんの事好きになって、


恋ってこんなにドキドキして、楽しいものだってことを知ったよ?




それと同時に、
こんなにも痛くて、切ないものなんだってことも知った。











ねぇ奏ちゃん。


片想い、
もうそろそろ卒業してもいいかなぁ。



もう、切なくて苦しいのは嫌だよ…。




片想いのその先を、
恋する幸せを、僕に教えて?



人を愛するって気持ちを、もっともっと知りたいよ。














授業が終わるまで、あと10分。



チャイムが鳴ったら、
僕は奏ちゃんの元へ走って行くから。



天使のような素敵な笑顔を、僕に見せてね??










あと…、5分…。



あぁ、何でこんなに時間が経つのは遅いのかな…。




早く、奏ちゃんに逢いたいのに…。


―Fin―

→雫流より


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