「〜♪」
一日の仕事を終え、執事室に戻ってきた私は、ポケットから小さな包みを取り出した。
「…かわいい、ですね」
包みの中から出てきたのは、小さなネコのストラップ。
これを、お嬢様が私のために…
そう思うだけで、自然と頬が緩んでしまう。
『あの、これ…ミュウに似てるなって思って、買ったんです』
『よかったら、御堂さんにプレゼントさせてくれませんか?』
夕食後、給仕を終えた私の元へ近づいてきた奏お嬢様が、恥ずかしそうに包みを渡してくれた姿を思い出す。
『私とおそろいなんですよ?可愛いでしょう』
ふわりと微笑んでご自分の携帯を取り出し、目の前で振って見せる。
そこには、今目の前にあるのと同じ、白い仔猫のストラップが揺れていた。
「私は…期待してしまっても、いいのでしょうか///」
執事とはいえ、異性に対してお揃いの物をプレゼントする行為。
私はお嬢様にとって、少しは特別な存在だと、自惚れてもいいのでしょうか?
「…何を期待するんです?」
「! ひ、柊さん!!」
いつの間に入ってきたのか、執事室のドアにもたれかかるようにして、柊さんが立っていた。
「先程から顔が緩みっぱなしですよ」
「…いつから見ていたんですか///」
「私が入ってきたのにも気づかないでニヤニヤしていたのは、御堂さんの方ですが」
「……/////」
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