夢の続きは君の隣で
「御堂さん!」
「どうなされました?奏お嬢様」
「えっと…、今度のお休みの日に私と、で、デートしてください!」
「…はい?」
それはある日の突然の出来事だった。
廊下で奏お嬢様に呼ばれたと思ったら。なんとも意外な言葉が返ってきた。
本当にあまりに突然のことだったので、私の口から出たのはなんとも間抜けな声の返事だったと思う。
「え、あ、その…迷惑だったら…良いんで…すけれど…」
お嬢様は少し顔を赤くして俯いて言った。
さっきまでの勢いはどこに行ったのだろうというくらい照れた様子で。
その様子がなんとも愛しく感じた。
「そんな、迷惑だなんて!大変光栄なことです」
そう、笑顔で応える。
そんなこと当たり前に決まっている。
私は、執事でありながら…奏お嬢様のことを好きでいるのだから。
「しかし、私でよろしいんですか?お嬢様」
でも、どうしてお嬢様は私を選んだのだろうか。普段なら裕次様や瞬様とお出掛けになることが多いのに。
し、しかも…出掛けるではなく、デートとは…。
自分でも少し顔が赤くなったのがわかった。そして、次の言葉でさらに顔が赤くなった。
「み、御堂さんじゃなくちゃダメなんです!」
お嬢様は「お願い!」と両手を合わせて頼み込んでくる。だが…
この言い方は、いくらなんでも反則だろう…。
「で、では。休みの日がわかりましたら…お嬢様にお知らせに参ります」
「本当に!ありがとうございます!楽しみにしていますね!」
そう言うと、お嬢様は満面の笑みを私に向け、その後部屋へと戻っていった。
一体、どうしたというのだろうか。
でも、自分にとってはとても嬉しい誘いだった。
「…休みの日、確認してこよう…」
そう呟くと、若干足早に部屋へと戻るのだった。
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