「この後は?どうしよっか?」

 少し窓の外を見てからそんな他愛のないことを聞いてみる。
 あぁ、やっぱり居た。
 通りすがりの男共、この子は俺の彼女だからな。変な目で見るんじゃない!

「そうだなぁ…行きたかった雑貨屋さんも回ったし、後は…」

 のんびりと目の前で話している奏ちゃん。
 きっと気づいてないんだろうなぁ。

 奏ちゃん。君はね、注目の的なの。

 俺、結構周り見てるから知ってるんだよ。君を狙ってる男なんてそこら中に居るんだ。
 学校では笑顔が素敵な社会科教師のお兄様と、大人気の双子のお兄様方。
 一歩そこを出れば、金髪碧眼のアイドルお兄様と、中等部アイドルの弟くん、そして、執事の鑑と言える執事さんがお2人。

 ほら、守ってくれる人がこんなにいる。
(ていうか、若干俺も敵視されてる気がするんだけど)

「本屋さんにも行きたいけど、うーん、また今度でも良いかなぁ…」

 だけどね、こういう場所では…俺しか君を守れる人が居ないんだ。
 ちょっと、不安。でも絶対渡さないし。絶対絶対。

 君だけの王子様になりたいけど、君だけの騎士(ナイト)にもなりたいんだ。

「…て感じだけど、巧くんは?行きたい場所とか、欲しいものとか、ある?」
「え?」
「あ、またボーッとしてた?」
「そ、そんなことないって!」

 やばっ。色々考えすぎてました。完璧に。

「じゃあー、この後、私はどこに行きたいって言ったでしょう?」
「…えーっと…」

 すいません。目が泳ぎます。

「全く、もう。でも、なんか巧くんらしくないね。どうしたの?」

 あ、少しだけ呆れた顔してる。あんまり見たことない表情だ。


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