笑うだけ笑った後、最初に口を開いたのは雅弥だった。
「まず俺。俺は一見海賊のようには見えないけど、ちゃんとした海賊の奴の衣装だぜ。確か、ナギって言ってたな」
雅弥は黒いバンダナと黒いエプロンをつけて腕組みをしていた。見た目は確かに料理人のような格好なのだが…。どうやら違うらしい。
「次はー、俺かな?俺はしっかり海賊に見えるでしょう?ほらほら、剣だってさしてるし!ハヤテって人みたい」
白いシャツに紺色のベストを羽織った裕次は剣を2本さしていて、それを少し嬉しそうな笑顔で見せていた。
「僕は…トワって人の衣装。赤いバンダナが目印になるから皆に見つけてもらえるけど…ちょっと恥ずかしい」
そう言いながら赤いバンダナをそっと掴みはにかむ瞬。白いシャツに赤いバンダナがよく映えていた。
そんな瞬の襟を直しながら次に話し始めたのは雅季だ。
「僕の方が恥ずかしいよ、瞬。こんな格好…しかも眼帯だってしてるんだ。どうして僕がシンだったのか…」
少し頬を染めながら文句を言いつつも、その手にはしっかりと銃が握られている。豪勢なジャケットの下で白いスカーフが少しだけ窮屈そうにしていた。
「よくお似合いでございますよ。雅季様」
「そういう…要さんもね」
穏やかな笑みを見せる要は一風変わった格好だ。一瞬海賊なのか?と思うその格好は雅弥と同じようだが、彼もまた海賊の一員らしい。
「道着、ですがね。結構目立ってしまい少しばかり恥ずかしいのですが。なんでもソウシという人とイメージが私だったとか」
そして、その隣には…話さなければ誰かわからないほどいつもとは雰囲気の違う修一が居た。
「修一先輩…すごいですね」
「…不本意です。残っていたのが彼…リュウガって方だったので。それに、君も言えた方ではないですよ」
いかにも海賊と言ったジャケットに帽子。白いブラウスまでも、そのどれもがまるで映画に出てきそうなものだった。
「ところで、これは一体どういう?」
「なんだ、聞いていなかったのか。何やら…僕たちが海賊の仲間で、蓮…君は敵らしいぞ」
「な、なっ!?」
「しかもさ、ロイって奴、変態なんだろ?」
「へ、変態!?」
「うんうん。でも、すごく見た目とかイメージぴったりだったんだよね、蓮さん」
「お、おい!ちょっと」
「そんなわけで、僕たちはこれで一つのお話というかゲームの登場人物になったみたいです」
「…もう、なんでも良い気分です」
「でも、蓮さん…似合ってますよ?」
少しばかりうなだれる蓮に大笑いの一同。
蓮はその様子に大きな溜め息を一つついた。
「ところで。どうしてこんなパーティーを?」
「どうやら、父が急に面白いことをしたいと言い出したことがきっかけだったようです」
「…は、はあ」
「まぁ、今夜は付き合ってやってください」
どうやら蓮にとっては、とんだパーティーになったようなのでした。
おしまい。
…え?おしまい!?
参照:
携帯ゲームアプリ「恋に落ちた海賊王」
漫画「こばと。」/CLAMP
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