パーティー会場は華やかという言葉良く似合う。
 それもそうだ。
 蓮はそう思いながら、近くを過ぎ行く人たちを見ていた。

 …あぁ、あの人はアレだったのか。

 そう思いながら。

 そう。このパーティーは、いつものパーティーとは一味違う。
 慎太郎の突飛な考えで生まれたものだった。

 様々な人たちが、様々な格好でその場を楽しむ。
 言うならば…

「あ、蓮さん!」
「お、おぅ…奏か」
「わぁ、よく似合ってますね!さっすが!」
「そうか?それなら良かったが」
「よく、お似合いです。えっと、その服は…」
「あぁ、海賊のようだな。確か…ロイとかって聞いたが」

 そう。
 俗に言うコスプレパーティーだった。

「なにやらたっての希望だと…聞いていたんだが。どうしてだろうか」
「あぁ!それなら…きっと…みんなを見ればわかると思います。って、わからないかもしれないけど」
「そうなのか?それより、お前のその格好は?」
「えっと、確か…こばと…だったかな?」

 奏はふわりとしたワンピースと薄い緑色のジャケットを翻してみせる。
 髪はそれに合わせてか、ウィッグをつけて長くしているようだ。

「おぉ、居た居た」

 そこへやってきたのは、奏の同級生で兄でもある雅弥だった。
 隣にはいかにも不機嫌そうな雅季も居た。

「うわぁ、さすが。よく似合ってるわ…」
「本当。裕次兄さんが呼びたがるわけだよ」
「そ、そう言うお前たちも…海賊…か?いや、違うのか?」
「ううん。合ってるよ、蓮さん」

 少し戸惑う蓮に奏は面白そうに答える。

「あれ?聞いてなかった?」
「何を、だ?」

 と、そこにまた…

「あ。みんなここに居たんだぁ」
「…僕、この格好恥ずかしい…」

 やってきたのは裕次と瞬。どうやらこの二人も海賊の衣装らしいが。

「聞いてなかったって、おい、どういうことだ?」
「あれ?蓮さんに説明、誰もしてないの?」
「俺、てっきりカナメがしていたもんだと思った」
「同感」
「僕、全然わからない」
「いや、おい、お前たち…誰か教えてくれよ」

「おやおや。皆さんお揃いですか」
「ふふ。そのようでございますね、修一様」

 そして、最後にやってきたのが…修一と要だった。

「え、あれ?あ?」
「どうしたの?蓮さん」
「いや、その…奏以外、みんな海賊の衣装なの…だな」
「そうですよ?」
「へ?」

 そう言うと、蓮以外のみんなが笑い始めた。


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