それは、良く晴れた…ある夏の日のことである。
西園寺家に、大層立派なリムジンが1台…颯爽とやってきた。
がちゃりと重たそうなドアが開くと共に、そこから出てきたのは東条院蓮。
彼は、ピシッとした黒いスーツを着て、大きな扉の前に立っていた。
「…い、一体…何が待っているのか…」
しかし、そんな様子とは裏腹に、彼は冷や汗をかいていた。
それは、先日のことだ。
『蓮、ちょっと良いですか?』
学校の職員室で、教科指導でもある修一に呼ばれると蓮は綺麗な装飾の施された手紙を渡された。
『なんですか、修一先輩?って、あれ?これ…招待状…?』
『えぇ。今度内輪で開かれるパーティーの招待状です』
そう言うと修一は眉を下げて少し情けなさそうに笑う。
『俺がそれに行っても…?』
蓮は少し控えめにその手紙を受け取りながら、それまた控えめに修一に質問をした。
すると修一は一つ息をついてからまた情けなく笑いながら話をする。
『むしろ、君が来てくれないと困るんだ』
『…へ?』
『い、いや…その…実は裕次や要くんからも是非蓮にと、うん…その、なんだ。とにかく、待っているよ』
『わ、わかりました。是非』
歯切れ悪くそう言い残すと、修一は職員室を後にしていった。
残された蓮はぼーっとその招待状に目を落とす。
『東条院蓮様』と丁寧に書かれた字は要のものだろうか。なんとなく見覚えのある字だなと蓮は思った。
そして、帰宅後…その招待状を見て、蓮は目を丸くする。
『こ、これは!?』
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