熱い頬には甘い口づけを
「あ。要くん。君の誕生日はお仕事お休みですから。よろしくお願いします」
「…はい?」
それは突然言われた。誕生日の数日前のことだ。
「よろしいのですか?」
「だって、折角の誕生日じゃないか。父からもそう伝えるように聞いていますから。それに、誕生日の日にまで仕事をすることはないと…僕も思いますよ」
そう言うと友人は柔らかく笑う。これは彼の魅力の一つだと思う。
「では…お言葉に甘えて」
笑顔で礼をする。その様子を彼は笑顔で見ていた。
急に出来た暇は私を嬉しくするのに充分な出来事だった。
なぜなら。
今度来る誕生日は彼女と過ごす初めての誕生日なのだから。
しかし。
私はまだ知らなかった。
自分の誕生日に何が起こるのかということを…。
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