完・お兄ちゃんと弟


「ただいまー!」

 いつもよりも一段と明るい声を上げながら、裕次は玄関のドアを開けた。
 その後ろを少しだけ恥ずかしそうに瞬が歩いてきた。

「おかえりなさいませ。裕次様、瞬様」

 にっこりと微笑みながら、御堂が二人に挨拶をする。

「ただいま、要兄ちゃん」

 瞬の顔は少しだけ赤くなっていた。
 そんな瞬を余所に裕次はご機嫌。鼻歌まじりに軽い足取りで自室へと戻っていった。

「どうか…なさいましたか?瞬様」
「え?あ…えっと…」

 買い物袋片手にもじもじしている瞬に、少し不思議そうな御堂。
 と、そこに。

「お、瞬じゃん。おかえり」
「雅弥兄ちゃん…」
「…瞬、お前もしかして…バカ兄貴と出かけてたのか…?」
「え?あ…うん…そうだけれど」
「…?」

 少しだけ引き攣った笑顔の雅弥。その様子に納得するかのように応える瞬。

「お二人とも…どうかされたのですか…?」

 そんな二人の様子を見て、御堂はきょとんとしながら尋ねた。

「あ、そっか。要は知らないんだ?」

 雅弥は両手を頭の後ろで組みながら、少し呆れ顔で答える。

「何を、でしょうか?」
「裕次…兄ちゃんのこと」

 瞬はまだ少し赤い顔。

「裕次様が?どうかされたんですか?」
「それがさ。一緒に出掛けて、裕兄の知り合いの所とかに行くのは別に構わないんだわ」
「?」
「だけど…」
「…上機嫌で、弟自慢するんだよね。裕次兄ちゃん」

 それを聞いて納得顔の御堂。

「要するに…恥ずかしいってこと…ですか?」

 にっこりと微笑みながら二人を見る。
 二人は少しだけ赤い顔をして頷いた。

「うんうん。やっぱ俺の弟たちが一番だよな!」

 そんな会話なんて露知らず…。
 裕次は今日も上機嫌なのでした。

「そういえば。画材買ってきたんだ?瞬」
「あ、うん。裕次兄ちゃんが…買ってくれた」
「それは、良かったですね。瞬様」
「うん///」

 何はともあれ。瞬も楽しかったようなので…。

 めでたし。めでたし。


―Fin―


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