「あなた」に、質問です。
「あなた」の「隣」にいるのは、誰ですか?
それはだんだんと暑さを感じ始めたある日のこと。
もう新緑という時期も少しだけ過ぎ、五月を下旬に入ったところだ。
そう、もうすぐあの日がやってくる。
自分の、誕生日。
あっという間に過ぎていった日々を思い返しては、今までの自分のことを何気なく振り返ってみる毎日。
それは、きっと「あなた」と出会えたからなんだと、思う。
けれど。
そんな、「あなた」に質問です。
「あなた」の「隣」にいるのは…誰ですか?
実際、そんな質問は馬鹿げていると思う。自分でも。
だって、彼女の…奏の隣にいるのは…自分がとても良く知っている人物。
要くんだ。
珍しく早く仕事が終わったからと、のんびり街中を歩いてみるんじゃなかった。
気分転換どころか、気分は動転。思考回路はフル回転。
どうして、君は要くんと一緒に…楽しそうに歩いているんだい?
隣に立つ彼の顔もどこか嬉しそうに見えてしまったのは、自分のこのどうしようもない感情からなのだろうか。
寄りによって、私服姿の要くんと歩いているところを見てしまうなんて。
彼と奏が日頃から仲が良いのは僕も充分承知していた所だけれど。
…奏の彼氏、俺だぞ?
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