夕刻。自室を出て、ぼんやりと歩いていると…雅季と雅弥の姿。
「あ、二人とも…!」
その並んで歩く珍しい二人の姿を見るなり声を掛けると…
「ごめん、兄さん」
雅季の鋭い淡々とした声。
「今、忙しいんだわ。またな」
雅弥のすとんと落ちるような声。
さすが双子と感心してしまうくらい、息のピッタリあった言葉たち。
「え…あ、はい…」
すっと上げた右手が空振りをして落ちる。
二人は何かを話しながら、雅弥の部屋へと入っていった。
「なんで、なんでなの?今日は…厄日?そうか、そうなのか?」
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「ふぅ、なんてタイミングで声掛けて来るんだよ、裕兄は」
「まぁ、裕次兄さんらしいよ?」
「全くだな。あぁ、それで…」
「これ、でしょ?」
「そうそう…」
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「あ、要さ…」
少し歩いた先で、要さんの姿を発見。声を掛けようとしたら…その先には修一兄さんの姿。
何やら真剣な表情で話をしている。
と、そこに柊さんまでやってきた。
どうしたんだろう…一大事とか!?
「みんなして、どうしたの?」
「わっ!ゆ、裕次様!」
「裕次!驚かさないで下さいよ」
急に来たせいか、修一兄さんと要さんを驚かせてしまった。声にこそ出ていないものの…柊さんも少しだけ驚いていたみたい。
「何か、あった?」
「いえ、どうしてですか?」
胸のあたりを押さえている二人の代わりに柊さんが返事をする。
「いや…なんか真剣な顔をして話をしていたから」
「あぁ、年越しパーティーのことで打ち合わせをしていただけですよ」
「少々お聞きしたいことがございましたので。裕次様、ご心配ありがとうございました」
「え?あ、あぁ…俺も何か手伝う?」
「いいえ。大丈夫でございます。裕次様はおくつろぎになっていてください」
そう言われると…何も言えない。特にこの三人相手だと…。
少しだけ仲間外れにされてしまった気分。
口を少しだけ尖らせてから、その場を去ってみた。
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「危なかったですね…」
「いやぁ、急に現れると思わなかったよ」
「私も驚きました」
「あぁ、そういえば。あちらの手配ですが…」
「そうだったね。要くんの方は?」
「こちらも順調でございます」
「ふむ。では、それについては…後は奏さんに任せましょうか」
「そうでございますね」
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なんなんだ!?
俺だけ…仲間外れ!?
きっと今の俺は最強にふてくされた顔をしているに違いない。
でもね?
みんなのせいなんだからね…!
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