中に入っていたのは包装された箱と…くるくると巻かれた…手紙かな?

「これ…」
「あ、それ…ちょっと悩んだんだけど」

 それを見るなり、奏ちゃんは顔を赤くした。

「見てもいい?」
「良いけど…笑わないでね?」

 その言葉を不思議に思いながら、僕はくるくると巻かれたそれを広げた。

「あ…」

 そこにあったのは…僕の似顔絵だった。

「へ、下手くそでごめんね?なんかプレゼント…寂しいなぁとか思って。一生懸命描いたんだけど、なかなか上手く描けなくて…」

 赤い顔をして必死に言い訳のような言葉を並べる奏ちゃん。
 どうやら、これを描いていたために、ここのところゆっくり会うことができなかったみたい。
 少しだけ歪なその線。モノクロの僕が幸せそうに微笑んでいる。

「ありがとう、奏ちゃん。すごく嬉しい」

 そう言うと、奏ちゃんは恥ずかしそうな笑顔でこう言った。

「いつも描いてもらってばかりだったから…。ねぇ?ずーっと一緒にいて、いろいろな瞬くんを知って見ていったら…もう少し上手く描けるかな?」

 その言葉に僕は笑顔で答えた。

 ―きっと、描けるよ。

 1つ年を重ねた分…少しだけ背伸びしたキスをして。


「あれ、瞬くん?ねぇ、知らない?雅季」
「さぁ…夜風にでも当たりに行ったんじゃないかな?」
「そっか。そうだよね、この人だもんね」
「誰のせいだよ、バカ兄貴」
「なっ、バカとは…!俺は瞬くんのためにだな…」
「まぁまぁ、二人とも…」
「修一兄さん…あの二人は放っておいた方がいいよ」
「雅季…。まぁ、確かにそうか…」

 主役のいないパーティー会場に声は溶けていく。

 少し離れた静寂の下。
 星々の光る夜空だけが知っている、甘い甘い二人の秘密。


『お誕生日おめでとう。来年も一緒に祝おうね』


―Fin―


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