誕生日当日。
華やかな会場に正装の人々。
ここまでしなくていいって言ったのに…。パパと裕次兄ちゃんが楽しそうにセッティングしたみたい。
そんな様子を修一兄ちゃんと要兄ちゃんは微笑ましそうに、雅季兄ちゃんと雅弥兄ちゃんは半ば呆れ気味に見ていた。
奏ちゃんはというと…実は、会う時間があまりなくて。
食堂で顔を合わせたり、廊下で少し話をしたり。
忙しそうで、すぐに部屋に戻ってしまったりして。
たった2、3日くらいのことだったんだけれど、僕を寂しくさせるには充分過ぎる時間だった。
奏ちゃんにとっては…やっぱり『弟の誕生日』程度のことなのかな?
いつか言ってくれた言葉を思い出しながら、せっかくの晴れの日なのに…曇り出す僕の顔。
僕は…奏ちゃんと一緒に過ごせたらって思っていたのに。
―恋人になって、初めての誕生日。
← | →