ある日のこと…。私は少し不思議な光景を目にした。
「…てことで、要さん!お願い!」
「構いませんよ。それでは、こちらへ…」
両手を顔の前で合わせて、御堂さんにお願い事をしている裕次お兄ちゃん。
そんな裕次お兄ちゃんを見て優しく微笑みながら頷く御堂さん。
一体何事なんだろう…と思っていたんだけれど、彼らは足早にその場を後にしてしまった。
「何かあったのかな?」
少し遠くにいたため、会話はよく聞こえなかった。
ほんの少しだけ気になったのだけれど…
「おい、奏。何ぼさっと立ってんだよ?テレビ始まんぞ?」
「え!?もうそんな時間だった?待って待って!私も見るから!」
談話室に入ろうとしていた雅弥くんに声を掛けられ、私はすぐにそのことを忘れてしまった。
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