その後、少し離れた場所にある水族館に折角だからと、のんびり電車で揺られながら行くことにした。
 水族館は家族連れや友人グループ、カップルなど人に溢れていた。
 イルカのショーを見たり、色々な水槽を見て回ったり。

「次、あれ見ましょう!」

 気づけば彼女の方がはしゃいでいたりして、そんな様子を見ているだけでも楽しくて幸せに感じた。
 そして、時間はあっという間に過ぎていった。

「あぁ、すごく楽しかった!」
「そうだね」
「あ、ごめんなさい。なんか私ばっかりはしゃいじゃってました…よね?」

 おずおずと様子を伺うように奏は聞いてくる。
 そんな彼女の頭を撫でながら、そんなことないと答えるとまたいつもの笑顔に戻った。

「そろそろ、帰らないといけない時間かなぁ…」

 彼女は腕時計を見ながら言う。その言葉に少しだけ胸が痛んだ。
 多分、彼女もそう感じているだろう。

「夕方頃にはって言っていたから。そろそろ、帰ろうか」
「うん」

 彼女は少し寂しそうに返事をした。
 寂しい気持ちは一緒だった。だから…

「奏」
「うん?」

 一瞬、唇が少し触れるくらいのキスをした。たった一瞬のこと。

「か、要さん…!」
「さあ、帰りましょうか?お嬢様」

 奏の顔は真っ赤だった。
 少し意地悪な笑顔を見せてから、今度は自分が彼女の手を引いた。
 長くて短い帰り道。もう少しだけこの時間が続けば良いと思いながら…。

 そして、帰宅後。
 本日最大の驚きが待っていた。


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