絵描きの公園


「綺麗な絵だね」

 そう言いながら、僕のスケッチブックを覗いた奏お姉ちゃん。

「あれ?これって、あの近くの公園?」
「うん。学校の帰り道にある公園だよ」
「すごい!なんかいつもと違って見えるよ」

 奏お姉ちゃんの視線がスケッチブックに向いたまま会話は続く。

「この公園、綺麗な所が多いんだよ」
「そうなんだ。今度見に行こうかな」
「じゃあ、僕が案内してあげる」

 すかさず発した言葉。奏お姉ちゃんは僕の気持ちに気付かないまま笑顔で答えた。

「じゃあ、よろしくお願いします」

 その言葉に僕も笑顔になる。
 二人きりで出掛けられる。それだけで嬉しく感じた。
 その日その時間は…僕だけのもの。


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