「今日はどこに行きたい?」
車を運転しながらの会話。この時、あまり奏の顔を見ることが出来ないのが少しだけ悔しい。
だけれど、信号待ちの時にチラッと見る彼女の横顔が好きだったりもする。
「うーん…一応まだテスト週間だしなぁ…」
彼女の声色から表情を想像する。きっと少しだけつまらなそうな顔をしているんじゃないかなぁ。
「勉強なら、帰ったら教えてあげようか?」
「本当に?」
少し明るくなった声を聞いて、また想像。きっと笑ったんだ。
あぁ、その笑顔が見れないのが悔しい。
でも、安全運転安全運転。大事な人を隣に乗せているんだから。
「うん。もちろん」
「なんか、裕次お兄ちゃんに教えてもらうのってちょっと新鮮かも」
「そう?」
確かに、あんまり教えたことなかったっけ。
そういえば、奏は、いつも大体修一兄さんか雅季の所に聞きに行ってたもんなぁ…。
そんな事を考えていたらなんだかつまらない気持ちが生まれた。
「じゃあ、今度から俺が教えてあげる」
「やった!」
「嬉しいんだ?」
「勿論だよ!だって、長く一緒に居られるから」
その言葉にドキッとする。
彼女の言葉はいつもストレートだから。結構ドキドキすることが多いかも。
「それじゃあ、とりあえず…気分転換のドライブと行きますか」
「うん!」
嬉しそうな声が隣から聞こえてくる。
あぁ、幸せだなって思える瞬間。
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