「雅弥くんは?今日はどこに出掛けるの?」

 と、何もなかったかのように質問をされる。…まあ、いいけれど。

「ん、ちょっとな」
「何々?雅弥くんこそ、女の子とお出掛けなのー?」

 今度は奏が意地悪な笑顔と言葉を向けてきた。

「残念でしたー。違いますー」

 他の女とどこか出掛けるわけない。だって、一緒に出掛けたいのは…奏となんだから。

「じゃあ、どこ行くの」
「ないしょ」
「えー、教えてくれないの?私は言ったのに、雅弥くんのいじわる」
「意地悪で結構」

 そう言いながらも、奏は笑顔だった。
 そして、どちらが誘うでもなく、自然に一緒に歩き始めた。

「ん、今日は天気が良くて気持ちいいなぁ」
「絶好のサッカー日和だな」
「あはは、本当に雅弥くんはサッカーが好きなんだね」

 奏は楽しそうに笑って言う。

「そういえば。雅弥くんは、どこまで行くの?あたしは駅の方に行くけれど…」
「あぁ、俺も駅行くよ」

 奏の会話は続く。本当によく喋るなぁって思うけれど、それが奏らしいところだったりする。

「じゃあ、駅まで一緒だね」

 笑顔のまま隣を歩く。目的地も一緒だったら…もっと嬉しく感じたんだけれどな。


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