それは、なんでもない日のことだった。

「転校生だって」
「女の子らしいよ」

 噂好きの女子も普段は廊下ではしゃいでいる男子も話していること。
 とにかく、今のクラス中の話題はほとんどそれだ。

「いちいち転校生くらいで…」

 隣に座っていた雅弥が呟く。その口ぶりはなんか知っているような、でもなんとなく興味がなさそうな。
 なんにせよ、彼らしい発言に僕はその時は何も思わなかった。
 近くに座っている雅季は何も言わない。ただ、ひたすら読書をしているだけ。
 学年中の女子の憧れの的である二人は、こう言った話題にはあまり食いつかない。というか、二人が同じ話題に食いついてきたことなんてほとんどない気がする。
 双子だからなのか、はてまたこの二人だからなのかはわからないけど。

「僕は、ちょっと興味あるなぁ」
「あ?まぁ、巧らしいか」

 ボソッと言った言葉に軽く返事を返す雅弥は朝練で疲れているのか欠伸を一つ。

 そうこうしているうちにチャイムが鳴った。


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