色んなことを考えていても、目の前の問題はちっとも進まない。
蓮さんが丁寧に説明してくれてるのに、なんだろう、どこか上の空。
なんとなく気になってしまって、すぐ近くにある蓮さんの横顔を見る。
どう説明したらいいか悩んでいるのだろう、時々眉間に皺が寄る。
「ん?どうした」
そんな様子に気づく蓮さんは、少しだけ目を丸くして私を見るんだ。
「…蓮さん」
ねえ、ちょっと気になること聞いてみても良いですか?
「なんだ?今日の奏はよく名前を呼ぶな。そんなに俺の名前を呼びたいのか?」
いつもの調子で返事が返ってくる。
いつもなら「なんですか、そのどや顔」とかって悪態つくんだろうけど、今日はちょっと違います。
ねえ、聞いても良いですか?
「ちょっと、蓮さんの噂聞いたんです」
「噂?」
「蓮さんが…お見合いするって話」
視線はノートに移した。なんとなく、蓮さんを見ていられなかった。
「あぁ、その話か」
私の質問に、蓮さんは特に顔色を変えずに返事をした。
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