夕陽がいじわる顔をしている雅弥くんを染めている。
 くすくすと笑う雅弥くんは一向に話してくれそうにない。

 …あれ?この感じ。なんだろう、どこか懐かしい…。

「奏さ、小一ん時に迷子になってんだろ」
「…え」
「確か、そう…猫追いかけてたとか言ってたな」

 雅弥くんが引いている自転車が不規則にカラカラと音を立てる。
 それを引いている雅弥くんは何かを思い出しながらけらけらと笑っていた。

 猫…小学生…?

「あ…」
「思い出した?」
「そういえば、そんなことあったかも」

 確か遊んでたら可愛い猫を見つけたんだ。それで、近づいたら逃げちゃって…。

「でさ、俺も実はその時迷子になってたんだわ」
「迷子に?…って、えぇ!?雅弥くんまで!?」
「そうそう。それが、確か兄貴たちと遊んでるときでさ」

 戸惑う私をからかうように面白おかしく雅弥くんはその時の話を始めた。

 お互い迷子の中、この河川敷で出会ったこと。
 二人とも不安そうな顔をしていたからか、会ってすぐに話をしたこと。
 なぜか一緒に遊ぶことになって(このあたりは雅弥くんもよく覚えていないみたい)遊んでいるうちに、お互い迎えが来たこと。

 雅弥くんは懐かしむようにその話をした。


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