「あ?お前、覚えてねぇの?」

 ばっとこちらを振り返って雅弥くんは少しだけ驚いた顔を見せた。

「なんだ、奏も覚えてんのかと思ってたわ」
「何?なんのこと?全然話が見えないんだけれど」

 雅弥くんは驚いたその顔を今度は少しだけ悪戯っ子のような顔に変えた。

「そういえば、お前…『ここ』に初めて俺と来た時も『初めて来ました!』って顔してたもんな」

 ニヤッと笑って雅弥くんは話を続ける。
 私の頭の中にはハテナマークがたくさんだ。

「俺さ、小学校ん時にお前に会ってるんだぜ?ここで」

 …。
 何?

「…は?」
「あ、やっぱり覚えてなかったか。まぁ、奏の記憶力じゃ仕方ねぇか!」
「ちょ、ちょっと待って!どういうこと!?」


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