「お前って、ホント変わらないよな」

 それは、放課後のことだった。
 いつも通り、雅弥くんをグラウンドの隅で待っていて、そのまま一緒に雅弥くんの自転車に乗って帰る。
 いつもと何も変わらない、そんな放課後。
 ただ、いつもと少しだけ違ったのは河川敷を並んで歩いていたことくらい。雅弥くんは自転車を引いて、私はその隣をのんびりと。そう、歩いていたのだ。

「何、それ」
「そのまんまの意味」

 けらけらと笑いながら話す雅弥くんこそ、変わらないじゃない。付き合ってどのくらい経つと思ってるのよ。
 …って、変わって欲しくないところだけれど。

「いつからの話?」

 あまりにおかしそうに雅弥くんが笑っているので、私も少しだけムキになって話を続ける。

「そうだな。奏と初めて会った時から、だな」

 ふっと河原を見つめながら少しだけ懐かしそうに雅弥くんは小さく呟いた。

「初めて会った時っていうと…私が西園寺家に来た時からってこと?」

 確認のためにそう言ったのだけれど。私はなんとなく違うんじゃないかと感じていた。
 だって、雅弥くんの瞳があまりに懐かしそうだったから。

「うーん、まぁ、それもそうだけど…」

 ほらね、きっと否定の言葉が続く。

「もっと前」
「もっと前?どういうこと?」

 だけれど、それは私の中に一つの疑問を持たせる。

 一体、いつのこと?


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