ぎゅっと、手を繋いでみた。
「どうか、した?」
そんな僕に君は言う。
「いや、奏ちゃんと手を繋ぎたかっただけ」
半分本当で半分嘘のその言葉は、笑い声と一緒に淡く消えた。
彼女は隣でくすくす笑う。
少しだけ、赤い顔をしながら。
「変?」
「ううん。そんなことない」
「でも、奏ちゃん笑ってるよ」
「巧くんだって笑ってるよ」
「そっか」
「うん」
そこは夕陽が傾き始めた学校の屋上。
グラウンドにはたくさんの生徒たち。あそこには、仲の良い同級生もいるんだろうか。
暫く黙ってそれを見ていた。
なんとなく、なんとなく…だよ。
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