部屋に戻って開くものは、カチリと無機質な音を立てる携帯電話。
メッセージ、1件。
それはいつもの合図…みたいなもの。
むしろ、そうなったと行って良いかもしれない。
たった一言の無機質な文字の羅列は、自分にとってとても温かい言葉。
だから、鳴らすコール音。
『もしもし?』
「もしもし?もう、おやすみになられていましたか?」
『ううん、まだ』
少しひんやりとする耳元が、だんだんとあったまってきて。
膝の上には甘える子猫が一匹。
窓の外には欠けた月が一つ。
『そうだ』
「うん?」
『お仕事、お疲れ様。要さん』
「ふふっ。ありがとう」
この一言が聞きたくて。
いつも聞いている、その愛しい声。
「今日は、どんな一日だった?奏」
それは、愛しい愛しい
あなたの音。
―Fin―
→あとがき
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